日月星辰 没後10年髙山辰雄展
髙山辰雄は「日月星辰」、壮大な宇宙をテーマとして、
その根底に存在する森羅万象を表現しようと研鑽を重ねた画家である。
自身の画業の中で明確なテーマとして打ち出し、
「日月星辰」と題した個展を三回開催している。
2001年の第三回展には、挨拶文として次のような言葉を寄せている。
1973年、第一回展出発の時、私の心の明確な言葉を持ちたいと考えました。
絵で表現し求めたい事、社会の中の人間の係わり。
その事を思って画生活していたのですが
人間とは、日月星辰と一つであること。
自然と一つであると思い、日月星辰としたのであります。
1985年、第二回展へと続けました。
常々、絵は私一人で画くものであり、
それはまた一人では絶対に出来ない事であると思っていました。
この度、その事── 一人では画けないものと、改めて強く感じたのでした。
私の作品はそれに答え、絵は語ることが出来ているのか。
限りないものを心に抱きながら、
私は細い道を、今後、また歩きつづけたいと願っています。
今回のアートフェア東京2017では、日本画、彫刻、版画に渡る
髙山辰雄先生の幅広い画業の一端をご紹介いたします。
2004年、第36回日展に出品された大作「牡丹 洛陽の朝」をはじめ、
花鳥画の名作、「椿(赤)」、「椿(白)」、さらに人物画の傑作「森の氣」、
風景画「海の見える路」、彫刻「緑の朝」の他、
2006年に制作されたオリジナルリトグラフセット「玄乃玄」を
一堂に展観致します。
合わせて、写真家・飯島幸永氏が撮影されました先生のお人柄を彷彿させる写真や、
先生が生前残された貴重なお言葉の数々も本展の見どころとなっております。
今なお、我々を魅了し続ける髙山芸術の真髄を、没後10年の節目の年にあたる本年、
是非ご高覧ください。
- 1912年
- 大分県大分市に生まれる
- 1931年
- 東京美術学校(現 東京藝術大学)日本画科に入学する
- 1933年
- 師松岡映丘(民俗学者 柳田國男の弟)の画塾木之華社の門に入る
- 1934年
- 帝国美術院展に「湯泉」が初入選する
- 1936年
- 東京美術学校日本画科を首席で卒業する
- 1946年
- 第2回日展に「浴室」が入選し、特選となる
- 1960年
- 第2回新日展「白翳」に対して第16回日本芸術院賞を受賞する
- 1965年
- 第7回新日展「穹」に対して芸術選奨文部大臣賞を受賞する
- 1970年
- 第2回日本芸術大賞を受賞する
- 1972年
- 日本芸術院会員となる
- 1973年
- 「日月星辰―髙山辰雄展」開催(日本橋髙島屋)
日展常務理事となる - 1975年
- 日展理事長に選出される
5月髙山辰雄展 開催(東急百貨店渋谷本店) - 1979年
- 文化功労者として顕彰される
- 1982年
- 文化勲章を受章
- 1983年
- 大分市名誉市民に推挙される
文化勲章受章を記念して大分県立芸術会館において
第1回髙山辰雄賞ジュニア県美展が開催される(現在も継続) - 1985年
- 「日月星辰―髙山辰雄展 1985」開催
(日本橋髙島屋・名古屋松坂屋・大丸心斎橋・トキハ会館・京都髙島屋) - 1987年
- 「髙山辰雄―屏風絵の宇宙展」開催(世田谷美術館)
雑誌『文藝春秋』1月号から 表紙絵原画を制作(1999年まで13年間続ける) - 1989年
- 髙山辰雄展 開催(東京国立近代美術館・京都府京都文化博物館・富山県立近代美術館)
- 1990年
- 皇居の豊明殿で催された祝宴「大饗の儀」の席に、
風俗歌屏風《主基地方屏風》(六曲一双 髙山辰雄・絵 香川進・和歌)が飾られる - 1993年
- 「髙山辰雄展」―聖家族1993年― 開催(小川美術館)
- 1994年
- 髙山辰雄「聖家族」展 開催(大分県立芸術会館)
- 1995年
- パリ・三越エトワールにおいて、髙山辰雄展が開催される
- 1999年
- 真言八祖像を描いた《投華―密教に入る》(六曲一双屏風)を高野山真言宗総本山金剛峯寺に奉納する
- 2000年
- 画業70年記念「髙山辰雄展」開催
(日本橋髙島屋・大分市美術館・京都髙島屋・名古屋松坂屋美術館) - 2001年
- 「日月星辰―髙山辰雄展2001」開催 丸栄堂企画
(日本橋髙島屋・京都髙島屋・名古屋松坂屋・大丸心斎橋・トキハ会館) - 2003年
- 中国・北京国際美術ビエンナーレの特別展として「日本 髙山辰雄作品特別展」開催
主催:中国北京国際美術ビエンナーレ組織委員会、日本中国文化交流協会、日本経済新聞社 - 2004年
- 第36回日展「牡丹 洛陽の朝」出品(本展出品)
髙山辰雄展 開催(茨城県近代美術館) - 2006年
- 髙山辰雄展2006「限りなき自然と時を丹青の中に語らう」開催 丸栄堂企画 (日本橋三越本店・名古屋三越栄店)
- 2007年
- 9月14日 肺炎のため95歳にて逝去
9月28日から「髙山辰雄展」開催(資生堂アートハウス) - 2008年
- 「髙山辰雄遺作展―人間の風景」開催(練馬区立美術館)
- 2009年
- 限りなき時の中に 髙山辰雄文藝春秋表紙絵展 開催
丸栄堂主催(シンワアートミュージアム 他巡回) - 2012年
- 生誕100年記念 髙山辰雄展(大分県立芸術会館・大分市美術館)合同開催